カスタム試験機の事例と導入ステップ
- 祐也 矢倉
- 7月26日
- 読了時間: 3分
要望を形にする装置づくりの実際
「既製品の試験機ではうまくいかない」「試験したい内容はあるが、どんな装置にすればいいかわからない」
そんなときに検討されるのがカスタム(オーダーメイド)試験機です。
本記事では、実際の導入事例を交えながら、カスタム試験機がどのように構想・設計され、導入に至るのか、そのステップを解説します。
1. カスタム試験機が必要になる典型ケース
まず、カスタム対応が必要になるのは以下のようなケースです:
既製品のチャックや治具で対象物が保持できない
評価したい試験条件がJISやISOなどの既存規格に存在しない
操作性やサイズ感を現場用途に最適化したい
社内規格や顧客要求に沿った動作検証が必要
つまり「評価したい内容が明確なのに、既製品では再現できない」場合、カスタムが最適解になります。
2. 実際のカスタム試験機 導入事例
■ 事例①:薄板金部品の繰返し押圧耐久試験装置
対象物:小型プレス部品(自動車用)
評価目的:1サイクル0.5秒×30万回の耐久
仕様要件:
高速エアシリンダの制御
ワークの脱着がしやすい構造
カウンター&非常停止付き
➡ 提案ポイント:既存汎用耐久装置では速度が不足。GRAFFでは駆動系+保持治具を専用設計し、片手で交換可能なワンタッチ治具構造に。
■ 事例②:高温下でのトルク測定試験機(社内規格対応)
対象物:電子デバイスのコネクタ部品
評価目的:80℃環境でのねじれトルク測定
仕様要件:
恒温槽との組み合わせ構造
高温対応のトルクセンサ
自動データ記録機能(CSV)
➡ 提案ポイント:構造部を高温対応材で設計し、制御系を室外設置。センサ部の断熱・冷却構造を工夫することで長時間の安定試験を実現。
3. カスタム試験機の導入ステップ
STEP1:ヒアリング・要件確認
まずは試験内容・評価対象・使用条件を詳細にヒアリングします。この段階では、図面が無くても「こういう動きでこういう評価がしたい」という目的ベースの相談でOKです。
STEP2:構想図・仕様提案
要件を整理し、構造案(ラフ構想図)+装置仕様のドラフトを提示。ここで試験条件や制御仕様、サイズ、操作性、安全面などもすり合わせていきます。
STEP3:正式見積・仕様確定
仕様が固まった段階で見積を提示。機構・電気・制御すべてを一括対応できるため、トータルでの整合性が取れた構成でご提案できます。
STEP4:設計・製作・調整
装置設計・部品手配・組立・制御プログラム設計まで一気通貫で対応。必要に応じて社内での事前動作確認(FAT)を実施します。
STEP5:納品・立上げ・トレーニング
お客様先での据付・調整・操作説明までサポート。運用中の調整や追加対応も相談可能です。
4. よくある質問
Q. 試験仕様が完全に固まっていないのですが、相談しても大丈夫ですか?➡ 問題ありません。むしろ仕様検討の段階から関わることで、最適な構成・コストバランスを一緒に考えることが可能です。
Q. 既存の設備に追加・組込みするような装置も対応できますか?➡ 既設設備との連携や、既存治具との互換性を考慮した設計も可能です。
GRAFF TESTERS DESIGNでは
当社では、「まずは要望から相談したい」というお客様からのご相談を多くいただいています。技術的な課題や制約条件がある場合でも、開発経験をもとに最適な仕様を一緒に検討いたします。
・試験内容はあるが装置化のイメージがつかない・できるだけコストを抑えたいが、操作性や安全性も妥協したくない
そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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