JISにない試験方法をどう実現するか？

独自評価をカタチにする装置開発の考え方

製品や部品の品質評価において、JIS（日本産業規格）やISOなどの標準化された試験方法が存在するケースは多いですが、すべての評価ニーズが既存規格に当てはまるとは限りません。

特に開発現場では、「こんな条件で負荷をかけてみたいが、規格がない」「社内基準や顧客の仕様書に沿った専用試験が必要」といった、“非標準”の試験要件に直面することがあります。

本記事では、JISにない試験方法を実現するにはどのようなアプローチがあるのか、装置開発の視点から解説します。

1. なぜ“非JIS”試験が求められるのか？

■ 製品特性に応じた独自評価が必要

新素材・新構造・複合部品など、従来の試験方法では特性を評価しきれないケースは増加傾向です。

■ 顧客独自の仕様書・評価基準への対応

BtoB製品では、最終顧客や親会社から提示される独自試験条件に合わせた装置構築が求められることもあります。

■ 使われる環境や運用条件を模擬したい

「実使用環境に近い状況で再現試験をしたい」というニーズも、標準試験では対応できない典型例です。

2. 非標準試験をカタチにする3つのアプローチ

① 試験目的と評価指標を明確にする

まず最も重要なのは、「何を再現したいのか」「何を測定・評価したいのか」を数値や状態で明文化することです。抽象的な指示では、装置仕様のブレや無駄な過剰設計につながります。

② 標準試験の応用・変形パターンを検討する

完全にゼロから構築するよりも、既存試験法をベースに条件だけカスタマイズすることで効率的に設計できることもあります。

例：

• JISの引張試験をベースに、偏荷重や繰返し条件を追加

• 落下試験の姿勢・方向・繰返し回数を独自に変更

③ オーダーメイド試験機による再現・測定

既存機では対応が難しい場合、専用設計による試験機の製作が必要になります。この際は、構想設計から実現性検討、制御・測定機器の選定まで一気通貫で対応できるパートナーと進めることがポイントです。

3. よくある非JIS試験のニーズ例

試験目的	一般規格では難しい点	解決方法（例）
異形状ワークの強度試験	汎用チャックに掴めない	カスタム治具＋専用駆動構成
長期動作による摩耗試験	数百万回の繰返しが必要	自動サイクル装置＋耐久対策
使用環境を模擬した性能評価	高温・高湿・薬品暴露など	恒温恒湿チャンバー内組込み構造
動作中の変位量を追従測定	高速変位・動的応答	高速カメラや変位センサの同期制御

4. 非JIS試験を成功させるためのポイント

• 試験目的と“ゴール”を明確にする（何を知りたいのか）

• 現場ヒアリングを重視し、実使用条件に近い構成を選ぶ

• 制御・測定・安全性など、多角的な設計視点が必要

• 予算と納期の制約内で実現可能な仕様に落とし込む

GRAFF TESTERS DESIGNでは

当社では、“JISにない試験”の実現を専門とする試験機メーカーとして、多くの非標準評価・特殊環境対応の試験装置を開発してきました。

• 「こんな評価がしたいが、規格がない」

• 「簡易的でもいいので再現性のある装置がほしい」

• 「試験内容は決まっているが、どう装置化すればいいか分からない」

そういったゼロベースの試験設計から伴走します。開発段階からご相談いただければ、仕様検討から設計・製作までを一括対応可能です。お気軽にご相談ください。